●ランボーの回帰
ドライ・ジン 1/2
ライム・ジュース 1/4
ホワイト・キュラソー 1/4
クレム・ド・ミント 1tsp
シェイクして、カクテルグラスに注ぐ。
魂は彷徨し、肉体は疲弊し、パトスは眩暈す。されど砂塵をぬけ、国境を超え、ランボーはひとり流離(さすら)う。19世紀後半におけるフランスのサンボスリムの世界を閃光のように通過する、きわめて特異な年少の天才詩人が抱懐したのは、自我の苦痛に満ちた逆説、形而上的な反逆、または美しく生臭い現実感であろうか。それは読む人の個性に応じて様々に姿を現す。ランボーにとって詩とは、俗悪で退屈なブルジョアの町や専制的な政治やキリスト教の権威に対する感覚の自由な探究の旅であった。僅かな年月にそのパトス(情感)の源泉を言葉にこめた。20歳で詩の創作を絶ち、ドイツ、イタリア、オランダ、ジャワ、エジプト、アフリカへと放浪と病いを繰り返す、憑かれたように・・・。ランボーは生涯にわたって帰ろうとする欲望を持っていたのである。・・・・・どこへ?・・・・・すべての所へである。
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