Flaneur, Rhum & Pop Culture

下北沢が奴等のモノでないために
[ZIPANGU NEWS vol.33]より
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 去る10月18日、世田谷区都市計画審議会が開かれた。議題は下北沢の駅周辺地区計画の再開発計画案だった。採決は賛成多数で計画案が承認された。当日朝、世田谷区から7月31日に提出されていた、下北沢地区を真ッ二つに分断する道路の事業認可申請が、東京都によって下されたとの急報を受けていた。まるで区都市計画審議会の賛成を強制するかのようなタイミングの認可直後だったが、行政権力は筋書き通り賛成多数の不正強行をしたのだった。なぜ不正強行だったかと言えば、例えば翌日19日の毎日新聞紙上に曰く、「審議会は、区側が計画案の縦賢に対して提出された1,051通の意見書の要旨を公開し、賛成が4割にとどまったことを報告。また、区が賛成の意見書の下書きを作成し、一部市民に渡していたことを批判した」と。

 再開発の動きに憂慮と怒りを憶える我われは、10日程前から審議会へ良識を求め各委員にロビーイングをやってきていた。個人で判断できない党派委員は除いても、採決中止(利権構造の賛成派が多数なので)に向けて効を奏すかと一瞬思えた。特に俺が当った会長には、区の賛成意見誘導の前に、住民の意見を集めてきたと唯一の論拠に上げる「下北沢街づくり懇談会」は、4つの商店会と4つの町会の理事長や会長と準ずる者と一部地権者だけを集め、推進派の議員と行政側が主導してきた非公開密室型の翼賛会だと篤と説明した。説明に答えて会長は言ったものだ。「そうでしたかやはり。以前から懇談会には疑問を持っていましたがこれで良く判りました。意見誘導の不正と共に、いざとなれば会長を辞退することも含め審議会に臨みます」だった。個人攻撃の興味は無いが、ひとつの街が生死を賭けた大事な採決を、多くの不正の真実を追求することも何ひとつ無く、あらかじめ歴然としている多数決に収束するとは、重鎮で老練の都市プランナーが、犯罪に組みする今日流行りの共謀罪を犯したと言わねばならない。審議会終了後、その東郷会長は「公平性、公正性の点で問題がある」と記者会見した。この椅子を安全確保した言い分は何?!世田谷区都市計画審議会は世界中に無能と恥を晒した訳だが、こうして謀議の中で、適不適ではなく判断停止のもと、先に決まったこととして街の解体は強行されていくのだ。別に絶望は既定のこととして今更しないが、脱力感のみが後に残された。

 18日を見越して前日の17日に起こした行動のことに触れねばならない。旧来の行政依存の4つの商店会のことは先に述べたが、自分たちのことは自分たちの目で見て考えようと、510店舗の賛同加盟を得て分派組織されたのが、下北沢商業者協議会という。先輩の市民グループ、セイブ・ザ・下北沢や下北沢フォーラムと連携している。商業者協議会はこれまで確固たる利害住民として、再三再四区長や都知事宛に要望書や陳情書を、時に要請書を提出し回答を求めてきたが、返事は推して知るべし。1月18日、区長に面会を求めて初めてサウンド・デモを行った。大熊ワタルとジンタラ・ムータの音楽が何とシモキタしていたことか。3月21日は渋さ知らズの諸君とだった。そして今回10月17日、クラブ251にて満員の応援隊の檄を受けて、前回に続いて登場願った渋さ知らズ14名のメンバーに、大阪からソウルフラワー・ユニオンのリーダー、中川敬が駆けつけてくれたのだ。こんな前代未聞のステージが実現するのも運動の奇跡だが、それをうまくオルガナイズするのは我らシモキタ派志田歩と爆裂兄弟というのが、何とも下北沢ならではの磁場であり救いではないだろうか−そして区庁舎を目指して出発した。