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くり毛美人=BRUNETTE

VOL.8

 先頃、アーヴィング・バーリンが亡くなった。'20年代の古き佳き時代より戦後にかけて、ガーシュイン、J・カーン、C・ポーター等と共にアメリカが生んだ偉大な作曲家の一人だ。

「イースター・パレード」('48)主演F・アステア、J・ガーランド)は、全編彼の名曲、戦後初の輸入ミュージカル映画として、非常に話題になった。

 ダンサーのドン(フレッド)はイースターを明日に控え、パートナーに裏切られ酒場で一人ショボくれる。
「くり毛(BRUNETTE)なんだ。」
グラスのバーボン・ソーダに目をやって云うと、すかさずバーテンダー
「身長は?」
「5.6フィート」
「これで」
とバーボンを並々とつぎ足す。
「君は女性に詳しいね」
「だから独身、バーで働いてりゃ判る、悩みがあるからここへ来るんだ。原因は二つ、女かその母親だ。(後から来た連れに)あんたはブロンドかくり毛か?」
と注文を聞く洒落!

 バーテンダーの処生訓を受けたドンは殆どヤケ気味でコーラス・ガールの一人ハナ(ジュディ)に声を掛けてしまうが、必死の独自のトレーニングで成功をおさめ、翌年のイースター・パレードに華のカップルで登場。と、まるでチビのJ・ガーランドの実話のような出世物語。尤も出世後のハナは知らないが、ジュディ自身は、結婚、離婚、不眠症、薬物禍の繰り返しで悲劇の中で人生を終えた。