top top
top top top











幽霊の正体みたり枯尾花
VOL.67

 『Estaminet(エスタミネ=喫煙カフェの意)』という雑誌が昨年暮れに刊行され、昔、ブレヒトが提唱した喫煙劇場の様な…ふむふむと思ってたら、村松友視と山下洋輔の同誌上対談が当店で行われた。上りを待ってたが来ないので問い合わせると、編集スタッフも総替りして次号から廃刊だった。一人のこましゃくれた女に潰された雑誌の例もある程で、それは別に、只のご愁傷様だが、直後、ダイナーズ社から送られてきたのが、『Forbs(フォーブス)』という企業戦略と財テクの新経済雑誌の購読勧誘だった。ー偶然だが二つの雑誌の会社が創業百年を誇る某社であったことが面白い。
 21世紀の文化とネイチャリングを志向する「日本のネオ・ルネッサンス運動」も「居酒屋的な知の拠点」もスタート前のパドックで壊し、21世紀を制覇するイケイケ企業マンを援護する戦術は、極めて脳軟化症的ニッポンのあり様だ。
 21世紀最大の人口爆発と温暖化の危機を警告するジオカタストロフィ研の古川院長は「食料ならクジラを食べれば良い」と云う。クジラを食うのは自然で毛皮を着るのも自然だ。人工毛皮の方が環境に問題だ。“毛皮を着る位なら裸がマシ”と裸でデモをした動物愛護団体に、“ずっと、そのままでいろ”と云ってあげよう。

(ハダカの王様)

(1992.2記)