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棄てる神あれば拾う神あり
VOL.57

 人間の深淵を洞察し、しかもサスペンスに満ちたエンタテインメント作家として日本でも人気の高かったグレアム・グリーンが逝った。特に映画の傑作「第三の男」の書き下ろしは有名だが、同じC・リードの監督した小説に「落ちた偶像」がある。某国大使の坊やに崇拝されている執事は不仲の妻と愛人の間で揺れていた。そして妻が墜落死、子供の真贋の眼が大人世界の欺瞞を剥いで行く、と云った話。ー閑話休題。
 グリーンが逝った2日前の4月1日(マーサ・グラハム女史昇天!)世界の偶像(アイドル)=マラドーナが、麻薬常用が発覚して伊サッカー界から追放され、母国アルゼンチンに戻った。母国政府は彼に謝罪要求を声明、“落ちた偶像”として国民の痛罵で迎えられた。後日、国際サッカー連盟は伊リーグの15ヶ月出場停止処分を国際的に適用した。転じて、'92秋日本プロリーグ発足に向けて世界のスーパースター確保に動いている日本企業は、今回の事件でマラドーナ(20数億円!)を対象外にしたそうな。何故!?15ヶ月後だと丁度間に合う、世界に暴れる日本泡金を使わなきゃ。発足前からそんな健全精神(あまちゅあ)では、プロ野球に歯が立たないんじゃない?

(堕天使)

(1991.4記)