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転ばぬ先の杖=衣替え
VOL.7
 レースつきのスリップや絹のストッキング、ガーターが若い女性の心をとらえているレトロ・ファッションは、豊かさ?の主張であり、「女らしさ」が受けるのだという。では、50年代のジャズは、パンツと同様に「セピアらしさ」が受けるのか?パンツ・ジャズはファッショナブルで、パンク・ジャズは今は如月、花冷えだ。
 人生80年時代の今、“老後を海外で豊かに暮らそう”と老人輸出するのは「日本人らしさ」で、それに乗っかる老人は腐敗と狂乱と栄光の'20年代の人として、きちっと酒を飲み、煙草を喫い、ウーマンリブしながら「女」を売りこみ、男子としてそれを受け入れた。「らしさ」を越えた熟成なればノスタルジィの入りこむ余地はないものを、ああ、大正レトロ村に、原宿レトロストリートの瞬間湯沸器的技のあわれ。

[ラシサ−板前]
(1987.2.1記)