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出物腫物所嫌わず=弁解の言語術
VOL.4
 愛の美名のもとに才能ある某女優を只の主婦にしてしまう男が、やがて、女房の放屁を愛おしく思う愛の寛さと鈍さの距離は味噌汁と女の幸福の距離に等しく、日常に根をおろす。暴力とセックスが距離を隔てなかった本来の関係は、面白がられながらも腫物のように嫌われる始末。臭い物に蓋、才能に家である。つい、先日、TVナイトショーで、ビリー・ワイルダ−の名作「サンセット大通り」('50)を懐かしく観た。今だ覚めやらぬ華やかな過去<1920年代>への妄執に生きる大女優と若き無名のシナリオ・ライターの愛の錯乱と虚妄の夢遊病世界。大女優を演じるのが実際に20年代の大女優だった、あのグロリア・スワンソンだからシビアです。セルロイドに刻まれた幻影の中から白扮と香水が悪臭を放つ残酷な話でした。

 おいたわしや 御年50歳グロリア嬢
 
[老僕ピンク・フラミンゴ]

(1986.11.1記)